親友の棺

親友が亡くなった…

入院の話は聞いていたが、会えばいつも元気一杯だったので見舞いは控えていた…

棺に眠る親友を見ても、闘病で小さくなった亡骸に実感が湧かなかった…

遺品整理を手伝っていると、いつも遊びに行くとコーヒーを淹れてくれるマグカップがあった…

手に取った途端、「元気になってまた会えると信じていたのに」という気持ちが涙と一緒に溢れて来た…

人目も憚らず声を上げて泣いた…

喪主のお姉さんから、

「お見舞いに来ると無理して何か食べたりして吐いていました…お気遣い有難う御座います」

と泣きながらお礼を言われた…

寂しい思いをさせたかもしれないけど、これで良かったのかもしれない…

そう自分に言い聞かせ、親友の棺を見送った…

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