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お母さんを守る子供の泣ける話

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昔は JR大久保駅(兵庫県)から通勤していたのですが、週2日は午前10時までに舞子に着けば良い時期がありました…

朝はゆっくりできるし、電車は空いていて快適でした…

ホームへの階段を降りてすぐの所にベンチがあり、そこに書類カバンを置いて缶コーヒーを飲んでいると、

「おかあちゃん!ここ座れるで!座りや!」

と小学生くらいの男の子…

しまったと思い、俺はベンチのカバンをどけました…

「ほら二人座れんでー」

母親と目が合い、俺は座る所にカバンを置いていたバツの悪さから会釈しました…

「おっちゃん!ここ座るとこやで!物置いたらあかんねんで~」

「ごめんな~、ぼうず偉いな~」

「僕もう三年生やもん」

(おい鼻水出てるぞ)

親子はそこから二つ目の明石駅で降りて行った…

仲が良さそうで、何だかいいなあと思いました…

それからも何度かこの親子と一緒になりました…

「おっちゃん、また大きいカバン持って…仕事大変やな~」

(タメ口…( ̄― ̄))

その度にこの子供とは話をするようになったのですが、

「おかあちゃん、おかあちゃん」

と言っているこいつがまあまあ可愛く思っていました…

ところが暫くこの親子とは会わなくなり、俺もこの遅い出勤がなくなってしまっていた頃…

その日は日曜に休日出勤になってしまい、お昼頃にホームで電車を待っていると、例の子供が父親と居ました…

「今日はおとんとお出掛けか?」

「うん!いまからおかあちゃんとこ行くねん」

(え? 親は別居中?)

「おかあちゃん病院おってんけど、今日帰ってくんねん」

へえ…こいつが母親を気遣っていたんは、通院の付き添いやったからか…いいとこあるやん…

「おっちゃんも仕事頑張れやぁ」

(やっぱタメ口…)

それから半年くらい経って、駅前がクリスマス一色になった頃、俺は再びその子供に会いました…

「今日は一人か? おかんは元気か?」

「おかあちゃん死んでもてん…」

情けない大人で、何も言ってやれないまま同じ電車に乗りました…

そんな重い病気やったんや……

だからこいつはあんなに気遣って、おかあちゃんおかあちゃんて……

この半年、めちゃ悲しい思いしたんやろなぁ…

そんなことを考えていたら、電車の窓の外を見ながら泣けてきました…

俺が降りる駅が近付いて来て、

「どこまで行くん? 1人で大丈夫か?」

「大丈夫や!」

「僕もう三年生やもん」

(今度は俺が鼻水出してしまいました)




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