私が23歳の頃、就職1年目の冬、私の誕生日の日のこと…
職場の人たちが「誕生パーティーをしてあげる!」というので、
家に、「今日は遅くなるよ…ご飯いらないから…」と電話を入れたら、
お父さんが「今日はみなさんに断って、早く帰ってきなさい…」と言う…
「だってもう会場とってもらったみたいだし、悪いから行く…」と私が言うと、
いつもは温厚なお父さんが、「とにかく今日は帰ってきなさい、誕生日の用意もしてあるから…」とねばる…
「??」と思いながら、職場のみんなに詫びを入れて帰宅した…
家にはその春から肋膜炎で療養中のお母さんと、電話に出たお父さん…
食卓にはスーパーで売ってるような鶏肉のもも肉のローストしたみたいなやつとショートケーキ3つ…
「なんでわざわざ帰らせたの!私だってみんなの手前、申し訳なかったよ!」
と言ってしまった…
お父さんは何か言ったと思うが、覚えていない…
お母さんが、「ごめんね…明日でもよかったね…」と涙ぐんだ…
私は言い過ぎたな、と思った…
でもあやまれず、もくもくと冷えた鶏肉とケーキを食べて部屋に戻った…
その2ヶ月後、お母さんの容態が急変し入院した…
仕事帰りに病院に行くと、お父さんがいた…
廊下の隅で、
「実はお母さんさんは春からガンの末期だとわかっていたんだよ…隠していてごめんね…」
とつぶやいた…
呆然として家に帰ったあと、お母さんの部屋の引き出しの日記を読んだ…
あの誕生日の日のページに
「○子に迷惑をかけてしまった…」とあった…
ワーッと声を出して泣いた…
何時間も「ごめんね…」といいながら泣いた…
夜が明ける頃には涙が出なくなった…
すごい耳鳴りがした…
4,5日してお母さんは死んだ…
仕事をやめて、看病していたお父さんも数年前に死んだ…
お父さんが準備したささやかな誕生日パーティーをどうして感謝できなかったのか…
お母さんにとっては最後だったのに、、、…
お父さんも数年後に死んだ…
こんな情けない自分でも、がんばって生きている…