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天国へ旅立ったおじいちゃんへ

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大好きだったおじいちゃんの話になります。

大正生まれのおじいちゃんは、妻であるおばあちゃんが認知症になってもたった一人で介護をし、おばあちゃんが亡くなって暫くは一人で暮らしていた…

私が12歳の時に、おじいちゃんは我が家で同居することになった…

でもその時、おじいちゃんもまた認知症になっていた…

私が成長して行くのと反比例するかのように、おじいちゃんは一人で出来ないことが増えて行った…

母は仕事を辞め、おじいちゃんの介護に専念した…

両親が私に構ってくれる時間が減って、私はおじいちゃんを憎むようになった…

旅行も行けない…

トイレも汚れる…

私の名前すら分からない人と暮らしている現実が嫌で、

『おじいちゃんさえいなければ』

と思うこともあった…

そのうちおじいちゃんのことを『あの人』と呼ぶようになった…

なので大学は県外の学校を選び、一人暮らしを始めた…

「おじいちゃんが危ないかもしれない」

母親から連絡が来て急いで実家に帰ると、ほっそりとしたおじいちゃんが寝ていた…

もう徘徊したり暴れたりする様子はなく、とても穏やかに寝ていた…

とにかく涙が止まらなかった…

『死なないで欲しい』と心から思った…

その数日後、おじいちゃんは息を引き取った…

私はちゃんと知っている…

私が3歳の頃、母が病気で入院した…

母の両親は既に他界しており、私の預け先に困っていた…

するとおじいちゃんは、

「例え5分でも○○(私)を一人にしてはいけない…何かあってはいけないから、うちに預けなさい」

と、高齢に加え、認知症のおばあちゃんの介護をしていたのにも関わらず、毎日子守りを引き受けてくれたこと…

私がおじいちゃんの家へ遊びに行くと言えば、布団をポカポカに干し、流行りのお菓子を買い、可愛いポチ袋にお小遣いを入れて待っていてくれてたこと…

そして、おじいちゃんが私のために口座を作っていてくれたことも…

まだ認知症がまだらだった時に、私が

「将来は海外で仕事をしたい」

と言っていたのを聞いて、母にお金を残すよう伝えていたらしい…

私のために沢山のことをしてもらっていたのに、何故あの時、おじいちゃんを嫌ってしまったのか…

今でも本当に後悔している…

伝えられるのであればお礼を言いたい…

そして色々な話をしたい…

今年、海外赴任が決まった…

おじいちゃんが残してくれたお金で大学院まで行かせてもらったおかげだ…

おじいちゃん、本当にありがとう…

天国に逝ったらしっかりとお礼するね…

大好きです…




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