弱音を吐く姿なんか見た事ないうちのじいちゃんとばあちゃん。
じいちゃんが癌で入院して、ばあちゃんは毎日病院に行ってた。
私はお見舞いのために久々に実家に戻った。
病室で見たじいちゃんは見違えるほど痩せて言葉も出せない程だった。
もうじきGWになる時だった。
じいちゃんに「おし!このまま家帰るか!」といつも冗談ばかり飛ばすお父さんが笑いながら言った。
すると「うん。帰りたか~…」と初めて素直に返事を返したじいちゃん。その瞬間、お父さんは眼鏡をはずし後ろを向いて泣いていた。
ばあちゃんは立上がり、じいちゃんが「痛い…」と言うのに力強く足をさすっていた。
「あんたがはよぅ治るように一生懸命しよっとたい」と怒り口調で言い、あまり滞在せずに出て行った。
ばあちゃんはこれが普通で、私もばあちゃんは薄情だと思っていた。
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余命より何ヵ月も長く生きたじいちゃんは寒くなった時期に亡くなった…
お葬式、親族が集まり誰もが泣き、今もじいちゃんがここにいるかのように話は尽きなかった…
その中、もちろんばあちゃんときたら涙ひとつ見せずたんたんとしていた…
火葬場に行き、スイッチをばあちゃんが押す事になった。
スイッチを押したその瞬間、ばあちゃんはしゃがみ込み泣き崩れた…
寂しさを強がりで埋めていたばあちゃん。
一番辛かったのはばあちゃんだった。病室でも葬式でも…
ばあちゃんのあの寂しさの重さは私なんかには分かり知れないものだろう…
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1人娘が亡くなって
気持ち
癌の余命宣告