1人暮らしを始める時、意気込んでフライパンを買ったんだ...
ブランドには疎いが、とにかく28センチの物を一本...
それまで料理なんて全くしなかったのだが、一人暮らしだから自分で作るしかない...そう思って買った...
空焼きしたり、油を馴染ませたり、手入れを怠って真っ赤に錆びさせたりさ...
それを金タワシでゴシゴシやって、また空焼きして油を馴染ませたり...
取り敢えず、目玉焼きは上手になった...
彼女が出来た...
凄く可愛いし素直...
だけど、料理は全然ダメだった(w)...
偶の休みの日には俺が、ちょっとだけ贅沢してステーキを焼いたんだ...
彼女はミディアム、俺はレアが好きだった...
「このフライパンは、お前と出会う前から俺と一緒に暮らしているんだ」
と言ったら、彼女はふくれっ面になって、それから笑ったんだ...
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俺と彼女は幸せな時間を過ごしたよ...
料理が下手な彼女は、目玉焼きを何度も焦がした...
俺は笑いながら、焦げた目玉焼きを美味しく戴いた...
「大事なフライパンなのにごめんなさい」と、彼女は詫びたんです...
「大丈夫だよ」と金タワシで擦って空焼きしたら、彼女はフライパンの深く碧い色を
「きれいね」と言ったんだ...
彼女は突然居なくなった...
事故だった...
俺は今も時々、フライパンを金タワシで擦って空焼きする...
深く碧い色が蘇る...
彼女の「きれいね」という言葉が蘇る...
28センチのフライパンは、俺と一緒に居る...
焦げた目玉焼きはもう食べられないが、フライパンのおかげで彼女の
「きれいねって・・・・」
という言葉は今でも、いつでも聞けるんだ...
聞けるだけで悲しいですが。。。
本当に辛い・・・。
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バス停にいた女の子
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