私が小学生の頃初めて人を好きになりました...
上級生だったのですが誰にでも分け隔てなく優しい人で誰もが彼を好いていました...
そんな彼がどういう訳か地味な私を好きになってくれて子供ながらに本気で愛していました...
その彼とは途中日本とロスという遠距離恋愛もしながらもお互い気持ちが変わる事はなく自分は彼と結婚するのだと信じて疑いませんでした...
しかしその彼が事故に遭い一度は元気になったものの他界してしまいました…...
まるでドラマのような展開でその恋は終わりました...
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正確に言えば私の恋は終わってはいなかったのですが...
彼が私の世界であり彼こそが私の全てだった...
亡くなってからもずっと彼が忘れられずやっと好きになれたと思った部活の先輩は結局は彼の面影を重ねていただけだった事に気が付きすぐに別れました...
もう好きな人に置いて行かれるのは嫌だった...
だから人を好きになって失うのが恐くて新しい恋愛から自分を遠ざけていた部分もあったのかもしれない...
もうきっと誰も好きにならない…寧ろずっと彼だけを愛してる...
そう思っていました...
彼が居ない世界で生きて行く意味が見つからず何度も自殺未遂をしたけれど結局死ねずに気が付けば彼を好きになってから10年が経っていました...
大学生になってすぐのある日高校生の男の子が電車で痴漢に遭った私を助けてくれました...
とても気さくで可愛い子でその日から彼とよく会うようになりました...
不思議と彼と居る時は心の底から笑う事が出来ました...
自然とお互い惹かれ合って行くのが解りました...
でも私は昔の彼の事をどうしても思い出には出来ませんでした...
それだけ彼は私の中で大きな存在でした...
だから目の前の彼に告白された時には嬉しかったけれどとても困惑しました...
未来が消えてしまった昔の彼を置いて私だけが幸せになろうとしても良いのかと...
私は彼に自分の過去を話しました...
重い女だと思われるかもしれないと覚悟していたのですがいつも可笑しな事ばかり言っているような彼が私の為に泣いてくれたのです...
「辛かったな...
その人の事忘れなくていい...ゆっくり思い出にして行ったらいい...
想い出に出来るまで傍で待ってるから」
と言ってくれました...そして
「俺は死なないから」
とも…...
とても嬉しかった...
彼と接しているうちに昔の彼の事を思い出す時穏やかな気持ちになれていた事に気付き始めていた頃の事でした...
彼が事故に遭い病院に運ばれたと連絡が入ったのです...
急に昔の彼の事が頭を過ぎり全身の血の気が引くのが分かりました...
当初は朦朧としてはいたものの意識もあったそうですが病院に運ばれてから急に悪化し私が駆けつけた時には既に息を引き取った後でした...
以前から何度かお会いしていた彼の親父さんに付き添われて彼に会いました...
彼の綺麗だった顔には大きな傷が残っていて痛々しくて自分の心も痛くて息が出来ませんでした...
そんな私を気遣いながら彼の親父さんは私に彼の携帯を渡してくれました...
救急車の中でも携帯を離さなかったそうでその携帯を開くと私宛のメールが打ってありました...
『ずっと愛してる...約束やぶってごめん・・・』
人前で泣くのが大嫌いな私が堪えきれずにボロボロ泣いていました...
こんな声が出るのかと思うくらい惨めな声で泣きじゃくりました...
彼の親父さんは
「きっとどうしても最期に伝えたかったんだと思うよ」
と言って私の肩をポンと叩きました...
顔を上げると親父さんも泣いていました...
「こいつはずっと君と結婚するんだと騒いでいたんだよ」
と言った擦れた声が妙にはっきりと私の頭に響きました...
そして以前ふざけながら話していた子供の名前の話やマイホームの話を彼の明るい声と笑顔と共に思い出していました...
臆病で照れ屋で…今まで一度も以前好きだった彼にさえした事はなかったけど傷付いた彼の唇に自分からキスをしました...
最初で最後の彼へのキスでした...
今はとても後悔しています...
気付いていたのにそれでも素直に認める事が出来なかった...
もっと早く自分の気持ちを伝えていれば良かった...
「誰よりもあなたのことが大好きです」
と...
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