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人生のどん底

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人生のどん底・・・。
そう私は24歳のとき人生のどん底にいました ...

6年付き

合って婚約までした彼には
私の高校時代の友人と駆け落ちされ
お父さんが死に後を追うように母も自殺したんだ...

葬式やらなんやらで会社を休んでいる間に
私の仕事は後輩に回り
残された仕事はお茶汲みと資料整理 ...

そしてついに彼に逃げられたことが会社に広まり
私は笑い者でした ...もういっそ死んでしまおう
そう思ってからは早かった ...

アパートに帰り元彼のネクタイで首吊りようの縄を作り

「人生が嫌になったので自殺します...」

と遺書を残し首に縄をかけました...

あぁ終わる
私の人生はなんだったんだろう...

でも立っていた椅子を倒そうとしたときでした...

ガチャッ・・・

アパートの扉が開き知らない男の人と目が合いました...
その時の私は相当間抜けだったとおもいます...

でもその男の人も間抜けな顔をしてこの状況に
困惑していました ...

「お降りてください!!」

でもすぐにその人は靴も脱がずに部屋に上がってきました...

私を抱き上げ縄を外すと私をジッと見つめました ...

「部屋を間違いました・・・」

それだけ言うとその人は静かに部屋から出て行きました...

私は突然のことに脱力しそのまま眠りにつきました ...

次の日いつも通りに仕事に行き
いつも通りに雑用を任され
いつも通りの時間が過ぎていきました...

ですがいつも通りではないことが一つ ...

私の部屋の前に誰か立っているのです...

それが誰なのかはすぐに分かりました

その人は私を見ると軽く頭を下げて私の元に
歩いてきました ...

「昨日はすいませんでした
僕の部屋はあなたの上の階なのですが昨日は酔っていて」

「なにかお詫びがしたいですお暇ですか?」

その人は優しく素直な人でした ...

私と同い年だったこともあり
いくつかの飲み屋をはしごするうちに打ち解けていきました...

初対面のはずが会話が途切れないのです...

5軒目を出たときには2人とも真っ赤な顔をして
フラフラしていました ...

駅前のベンチに2人で座り
また他愛もないことを話しだします ...「君といると楽しいよ」
「私も楽しい」
「だから死なないで」

彼の声は真剣でした ...

色々な話をしましたが
私が自殺しようとしたことについて彼が何か言ったのは
これが初めてでした ...

「もう分からない私が生きている意味も
何のために生きていけばいいのかも」

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婚約者のこと両親のこと会社のこと
私が話している間彼は黙って聞いていました...

私が涙で言葉を詰まらせると
彼は優しく背中を撫でてくれました ...

「なら僕のために生きてください
僕はあなたのために生きていきます」

今考えてるとこんなことを言ってしまう彼も
大泣きしながら頷いた私も酔っていたのです ...

普通なら初対面の女にこんなことは言わないし
私だって初対面の男の言葉を信じるはずがありません
でも彼は私を幸せにしてくれました ...

どちらも一人暮らしだったため
夕飯はどちらかの部屋で食べるようになりました...

私は料理が得意ではありませんでしたが
彼の料理は絶品でした ...

そして半年が経ち私の誕生日がやってきました ...

仕事から帰るとあの日のように彼が部屋の前
に立っているのです ...

「おめでとう一足先におばさんだね」

彼はそう笑いながら大きな花束をくれました...

その日を境に正式に付き合い始めました ...

私の部屋を解約して彼の部屋で一緒に暮らし始め
私は彼に甘えて仕事を辞めました...

それからは掃除と洗濯と料理
毎朝の彼のお弁当作りが私の仕事になりました ...

そしてまたその半年後仕事から帰ってきた彼が
100点の答案用紙を見せるようなキラキラした目で

「貰ってきちゃった」

と婚姻届を私に見せてきました ...

一週間後には彼のご両親に挨拶に行きました ...

お義母さんもお義父さんもとてもいい人たちでした...

結婚の挨拶に行くと彼から聞いていたのか
色々大変だったわねと涙を流してくれ
息子をお願いしますと深々と頭を下げられました ...

本当に暖かく私を娘のように可愛がってくれました...

新しい両親ができ幸せになれた...

私は婚姻届にサインしながら彼に聞きました ...

「私もあなたを幸せにしたい
あなたの為ならなんでもするから
なにか恩返しをさせて?」

彼は少し考えたあと優しく笑いながら言いました ...

「僕より先に死なないで」

結婚式は挙げませんでした...
相変わらずずっと狭いアパートで二人暮らしです...

私は子供が出来ませんでした ...
私は彼にも両親にも子供の顔を見せることが出来ず
悔しかった ...

しかし誰も私を責めませんでした ...

私はいつのまにか優しい人に囲まれていました ...

幸せで本当に幸せで
気がつくと彼と出会って10年が経っていました...

私はだめな嫁でした ...
上達しない料理とお弁当を毎日食べさせ
結局子供も出来ず
彼に甘えてばかりでした...

しかし彼は私の料理を残さず食べてくれ
いつもありがとうと言ってくれました ...

誕生日の花束も忘れたときはありません...

私を気遣い休日は彼が家事をしてくれました ...
私は幸せでした...

私は今病院のベッドの上にいます...
先月癌が見つかりましたが発見が遅く
良くて1年だろうと言われました ...

彼は毎日見舞いに来て私の手を握ってくれます ...

一度死のうとした私への罰でしょうか ...
まだまだ彼といたいのに
私は彼より先に死んでしまうのです ...

幸せにしたいと言ったのに
そんな簡単な約束も守れないのです ...
本当に私はだめな嫁ですね...

優しい彼を毎日泣かせてしまうなんて
長々とすいませんでした...

休み休み書いていたらこんなに長くなってしまいました...

最後にもう少しだけ
あなたに出会えてあなたの家族になれて幸せです ...

私を見つけてくれてありがとう ...

優の優しさが私を救ってくれました ...
約束守れなくてごめんなさい ...

先に向こうで待ってるね ...
優はおじいちゃんになってから来てください...

愛しています ...
いつかあなたの元に届くことを祈って...
何の為に生まれて
何の為に生きて
何の為に働いて
何の為に??と思う事はありませんか?

大切な人の為に生きる事も
大事な事です...

だから生きてほしい。

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本当に泣ける話を集めてみました・・・。

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