数年前の話になります…
家族旅行の帰り道・・・
大きな事故に遭遇しました…
その事故のせいで私は2本の松葉杖なしには歩けなくなってしまったのです…
私よりましだったものの、父ちゃんも松葉杖が必要な身体になってしまいました…
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思春期には劣等感に悩まされ、死にたいと思ったこともありました…
そんな時、いつも父ちゃんが慰めてくれました…
父ちゃんも同じ痛みを知っているから、私の気持ちをちゃんとわかってくれていたのです…
父ちゃんの愛に励まされ無事大学にも合格し入学式の日、
父ちゃんは私のことを誇りに思うといって涙ぐみました…
そして、
入学式を終えて会場からでてきたとき…
目の前で、信じられないことが起きたのです・・・
小さな子がひとりで車道へ飛び出しました…
すると、
父ちゃんは松葉杖を投げ捨てて、全力でその子のもとへ駆け出したのです…
自分の目を疑いました・・・
父ちゃんがその子を抱き抱えてもどってくるではありませんか・・・
「父ちゃん!」
私は驚きのあまり大きな声を出しましたが、父ちゃんは何ごともなかったかのように、松葉杖をついてさっさと歩いていきます…
「母ちゃん母ちゃんも見たでしょう?父ちゃんが走ったのを!」
母は淡々と答えました…
「驚かないで、聞いてちょうだい…
いつかはあなかにもわかってしまうと思っていたわ…
父ちゃんはね、本当は松葉杖がいらないの、
あのとき、父ちゃんは腕に怪我しただけだったの…
それでも4年間、松葉杖を使ってきたのよ…
同じ痛みを背負わなければ、あなたを慰めてあげらないといってね」
知らず知らずのうちに涙が溢れてきました…
泣かないで…
父ちゃんはね、あなたを慰めてあげられる自分を誇りに思っていたのよ…
さっきは、あの子が車にひかれそうになって、あなと同じ目に遭うんじゃないかと・・・…」
前を歩く父ちゃんの後ろ姿を見ていると涙がこぼれ落ちてきました…
つらいときは、いつも父ちゃんのふところで泣きました…
いつも声をあげて泣いていたのは私だったけれど、父ちゃんは胸の中でもっとたくさんの涙を流していたのかもしれません…
父ちゃん、母ちゃん、ありがとう・・・
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病気になりその後の人生
前の嫁と死別して13年