バラの花束

バラの花束。

数年前に父が還暦を迎えた時家族4人で食事に出掛けたんだ...

その時は兄貴が全員分の支払いをしてくれた...

普段着ではなく全員が少しかしこまっていて照れくさい気もしたんです...

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母の還暦のお祝いは家族で温泉旅行に行こうと兄貴と話し合った...

両親に伝えるととても喜んでくれた...

家族旅行なんて久しぶりのことだった...

俺が高校に入ってからは自然と行かなくなっていた...

旅館の部屋は思っていたよりも結構広くて綺麗だった...

食事も豪華で両親共に大満足のようだった...

母と一緒に温泉に入り背中を流してあげた時何だか小さく感じた...

今まで俺たちの為に沢山頑張ってきてくれたのだと思った...

その日の夜に家族4人で並んで眠った...

子供の頃からそんな風に全員が並んで眠ることはなかった...

俺の記憶にある家族旅行ではホテルで2部屋に分かれて泊まっていた...

でも何だか懐かしいような気持ちになった...

家族旅行をプレゼント出来て本当に良かったと思った...

旅行から帰宅しリビングでお茶を飲んでいるとチャイムが鳴ったんだ...

珍しく父が玄関へと向かったんです...

父の後に玄関へと向かった母が驚きの声を上げた...

母の声を聞いて俺と兄貴も玄関へ向かった...

駆け付けた俺が目にしたものはまるで想像していなかったものだった...

母が大輪の赤い薔薇の花束を抱えていた...

父は少し照れているようだった...

兄貴が俺にそっと耳打ちした...

「親父に相談されて僕が手配したんだ...60本あるんだよ」

こんなサプライズがあったなんてとても驚いた...

薔薇の花束を持つ母はまるで少女みたいな笑顔だった・・・。

父のことがいつもより格好良く見えたよ・・・。

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本当に泣ける話を集めてみました・・・。