色褪せをしたトレーナーの話です。
わが家は貧乏だったんだ。
運動会の日も、授業参観の日さえもお母さんは働きに行っていたくらいの家庭・・・そんな家だった。
そんな俺の15歳の誕生日の事です。
お母さんが嬉しそうに俺にプレゼント を渡してくれた。
ミチコロンドンのトレーナーだったんだ。
俺はありがとうと言いつつも、恥ずかしくて着られないなと内心思っていた。
その夜考えていた。
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差し歯を入れるお金もないお母さん。
美容院に行くのは最高の贅沢、手はかさかさで、化粧なんて当然していない。
こんなトレーナー買うくらいなら他の事に使えよと・・・。
そんな事を考えながら、もう何年も見ていない昔のアルバムを見てみたくなった。
若い時のお母さんが写っている。
えっ!俺は目を疑ったんだ。
それはまるで別人だった。
綺麗に化粧をし、健康的な肌に白い歯を覗かせながら笑っている美人のお母さんがいた。
俺は涙が止まらなくなった。
俺を育てる為に女を捨てたお母さん・・・。
ミチコロンドンのトレーナーを腕に抱き、その夜は眠った・・・。
早く働いてお母さんを楽にしてあげたい!だからもう少し待っててくれよな!
本当にありがとう!
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