愛する夫との永遠の別れ
戦時中、夫が戦地に向かう時、私は幼い娘を背負い、小さな日の丸の旗をふりながら彼を見送りました。たった一度、そのたくましい腕に抱かれただけの瞬間が、私の生涯で最も幸せな記憶として心に刻まれています。しかし、あの日から半世紀以上が経ちました。夫はわずか32歳で戦地で命を落とし、そのまま私の手元に戻ることはありませんでした。
「あなたは今、天国でどう過ごしていますか?」と心の中で語りかけるたびに、あの頃のままの彼を思い出します。逢えない年月の間、私はあなたの記憶だけを支えに生きてきました。私ももう80歳。あなたと過ごした日々が私の人生の全てであり、希望であり、そしてすべての愛情の源だったのです。
感動する話|寄り添いたい半世紀越しの再会
もし天国であなたに会えたなら、どうか覚えていてほしい。私を見つめて「どこの人だ」なんて言わないでね。「よく来たね」と迎えてくれるその言葉が、私のずっと待ち望んだものです。そして、あの頃のように優しく寄り添って、たくさんの思い出話をさせてほしいのです。
娘の成長や、孫の話、戦後の苦しい日々と共に頑張って生き抜いた私のこと、きっと彼も聞きたいと思っているはず。そんな話をしながら、もう一度あなたのそばで甘えてみたいと心から思っています。そして、あなたの穏やかなうなずきと「よく頑張ったね」というその優しい一言が、私をどれだけ慰めてくれることでしょう。
愛の物語|二人で歩きたい四季の道
「そちらの“きみまち坂”にも連れて行ってね」と、何度も夢見て願っています。春の桜、夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色、四季のすべてをあなたと手をつないで歩くことができたなら、それ以上の幸福はありません。お別れしてから、あなたを想わなかった日は一日もありませんでした。その想いだけが私を支え、どんなに孤独な夜もあなたへの愛情で乗り越えてきたのです。
もしも天国で再び会えたなら、最後の瞬間まであの頃のようにしっかりと抱きしめて、二度と私を離さないでください。