お父さんがいつもそばにいてくれた安心感
私は父が大好きだった。仕事が忙しくても、いつも私と姉を温かく見守ってくれて、笑顔を絶やさない。私が学校でいじめにあったときも、父は私の隣で何も言わず支えてくれた。そんな父が、どんなときも味方でいてくれる存在であることが、私にとって一番の安心だった。
父の職場は遠く、毎朝7時に車で出勤し、帰りは夜の11時になることも多かった。それでも、父が休みの日には、私と姉が学校から帰るのを待ってくれて、「おかえり」と声をかけてくれる。そして、私たちに一言挨拶をしてから「じゃあ、寝てくるね」と静かに休みに入る父の姿を見ると、忙しい中でも家族を大切に思ってくれているのが伝わってきた。
不安な夜｜お父さんが倒れた日
ある日、突然父が職場で倒れたと母から聞いた。信じられなくて、何度も「どうして？」と尋ねてしまったが、母もただ「今、病院に運ばれている」としか言えない様子だった。習い事をしていた私は、急いで病院に向かった。外は冷たい雨が降り続き、車の窓を伝う雨粒が妙に不安を増幅させた。
病院に着いたのは夕方の5時ごろだったが、父の顔を見ることができたのは夜遅くになってからだった。病院には多くの患者さんがいて、父が深刻な病気なのではないかという不安が、私の心を強く揺さぶっていた。小さな私にとって、父が倒れることは信じられない現実だったし、もし父がいなくなったらと思うだけで、体が震えた。
看護師さんの言葉｜父が無事だと知った安堵の瞬間
ようやく看護師さんが「お父さんのところに入っていいですよ」と案内してくれた。病室に入ると、父はベッドでぐったりと横たわっていた。目を閉じたまま、深い眠りに落ちているような姿に、私はますます胸が締め付けられるようだった。
看護師さんは、「気圧の変化で倒れただけなので、深刻な病気ではないですよ」と教えてくれた。瞬間、体中の緊張が一気にほぐれて、涙が止まらなかった。あの時の安心感は、生涯忘れることがないと思う。「ガンでもない」と聞いて、心からほっとした。父が無事でいてくれるだけで、私にとっての世界が再び明るくなった気がした。
お父さんがいてくれることの幸せ
あの日から、私は父が無事でいてくれることがどれだけ大切かを痛感するようになった。父の存在が、私にとってどれだけ支えで、毎日の喜びを与えてくれているか。それを失うかもしれないという恐怖を感じたことで、今まで当たり前だと思っていた父との日常が、実はかけがえのないものだと気づいたのだ。
「これからもずっと元気で長生きしてね、お父さん。」
父が隣にいてくれること、家族とともに過ごすこと、そして父の優しい笑顔を毎日見られること。それが私にとって、何よりも大切でかけがえのない宝物なのだ。
