馬との和解できた泣ける話になります。この話はとある県の乗馬クラブに私は縁あって勤めていたので書かせて頂きます。
私は馬が幼少の頃から好きでして動物園へ行くと必ずポニーに乗りました。
愛くるしい瞳や人間っぽい性格にぞっこんになっていました。
友人たちにはやや引かれる程でしたが・・・。
やがて私は乗馬クラブに就職しました。
馬たちは個性豊かでどの子も愛らしいんです。
しかし人間にも好き嫌いがあるように馬にも好き嫌いがあるのです。
その馬は若い雄馬でした。
とても可愛いらしい顔をしてやんちゃな性格なんです。なんども仲良くしようと試みましたがうまくいかずに・・・・。
そして彼は私の事が嫌いのようでした。何故嫌われているのかわかりませんでした。
もしかしたら気付かないうちに彼を傷つけていたのかもしれません。
どうしたらいいか分からず私は彼との距離を縮めかねていました。
私の態度も誉められたものではなかったでしょう。
冷めた距離のなか数年経ちました。
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彼はある日病気になりました。
寝たきりになりご飯も食べなくなりました。
獣医さんが毎日様子を見に来て下さっても良くなる兆候は見られませんでした。
投薬をしても運動をさせても回復しませんでした。
ただただとても苦しそうにするだけです。
2日に渡り私達は付きっきりでいました。
ですがあまりにも苦しそうで回復する様子もなくてオーナーは安楽死を選択しました。
残酷ですが馬の業界はこうなのです。
薬が注射される直前スタッフ各々が別れを言いました。
皆、悲しい表情で彼と話しました。
最後が私でした。
私は頭がパニックで、う言葉を掛けたらいいか分からず、彼の名前を呼ぶだけで・・・。
そしたら、…鳴いたのです。
横たえた頭を少し上げて・・・。
オーナーはまるで返事をしたみたいだ、と言いました。
少し前まで私が何しても無視したり反抗的だった彼が。
私は大泣きしながら彼の頭を抱きしめました。
ごめんね、と喉から零れました。
すると言葉が分かるかのように微かに頭を動かすのです。
そのまま獣医さんは彼に注射をしました。
重く、動かなくなった彼は、徐々に冷たくなりました。
・・・。
これが、私とある馬の話です。
もう十何年も前の話です。
その後、私は病気になり一線を退きました。
今でも、馬が大好きです。
あの日私は彼と仲直りが出来たと思っています。
生きている間にできたらと思わない日はありません。
しかしもし出来ずに別れがあったら、と思うと悲しいです。
きっと今頃天国で、彼は楽しく走っているでしょう。本当は乗りたかったんだからね。
本当に本当に。ありがとう。
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